事前相談の必要性
監査というものは、他人のやったことをチェックする仕事なので、基本的には事後(やってしまった後)に行います。重要な取引については、間違いのないように、事前に相談を受けることもありますが、ほとんどの場合は、実行してしまった後に知ることになります。
多くの場合、特に問題が生じることはありません。問題が生じることもありますが、その場合でも、取り返しがつくことが多いです。しかし、中には取り返しがつかない問題が生じることがあります。
たとえ取り返しがつく場合であっても、後始末に多大なエネルギーが必要となることが多く、実行する前に一言ご相談いただいていればこんな無駄な苦労をしなくても済んだのに、と歯痒い思いをしたことも多々あります。
わたしが期待しているのは、実行する前に相談いただき、防止できるリスクについては可能な限り回避いただき、無駄なエネルギーを使わなくても済むようになることです。
もっとも、これは評価されにくい面があります。というのも、結果的に何も問題が起きない、ということを目指しているからです。(理想は、「良い治世というものは、国民が為政者のことを意識しなくても幸せに暮らせる状態」になることです。)
知的財産の重要性
特許はさまざまな戦略、戦術があり、非常に面白い分野です。いかに有利な陣地を取るかが基本となりますが、かといってただ陣地を取るだけでもダメ、というように、とても奥が深いです。
今は簡単に世界に発信できるようになり、今後、ますます知財が重要になってきます。今までであれば、たとえ真似をしたとしても、規模が大きくならない限り気付かれることが少なく、気付かれなければ訴えられることはありませんでした。しかし、SNSでの発信など世界に簡単に情報を届けられるようになった代償として、知財に関する侵害に関してもネットですぐに気付かれてしまう時代になってしまいました。
著作権、商標権や特許権などの知的財産権を侵害しているとして訴えられるリスクは非常に高くなっています。甘く考えてはいけません。訴訟となれば、費用がかかるのは当然として、被るイメージダウンも計り知れません。費用も、訴訟費用だけではなく、負ければ損害賠償や今までの開発費や製造コストが無駄になってしまいます。特許侵害などの情報があまり流れてこないのは、企業の評判に関わることでもあるので、表に出てこないだけです。自分には関係ないと考えるのはとても危険です。「まさか」は突然来ます。
さまざまな業種の会計監査やコンサルティング業務を通じて得た知見や、実際に特許・商標・意匠を出願から登録まで行った経験(自分で出願したり弁理士事務所経由など)から、財務・会計面からの事業計画の策定だけでなく、知財も含めた商品開発についてのアドバイスも特許事務所や弁護士事務所と連携しておこなっています。
補助金・助成金・借入金にできるだけ頼らない経営
ご依頼があれば補助金や助成金の申請や借入れのための事業計画作成もおこなっています。
ちょうど設備投資を計画していたところ、ぴったりの補助金・助成金があったので、せっかくだから利用しよう、ということでチャレンジする場合が多いと思います。また、借入れの場合も、きちんとした返済ができるような計画がもともとあることを前提に、より説得力を持たせるための書類作りのお手伝いをすることが多いです。
事業は自己資金で賄うのが理想です。借りを作るとそれに縛られてしまいますので、経営の自由度を高めるためにも他人の資金を当てにすべきではない、というのがわたしの基本方針です。
補助金、助成金がもらえるから、借り入れがしたいから、というケースでご相談いただくこともありますが、手段と目的が入れ替わってしまっており、本末転倒とも言えます。このようなケースで成功事例はないように感じています。補助金や助成金が目当てなので、スタート時点でもともと思い入れがなかったからかもしれません。
しかも、補助金や助成金は、もらえるといっても全額タダというわけではなく、持ち出しがあります。また、最近では、ほとんどが先払いで、後から精算というパターンです。申請時だけでなく、終了してからも報告が必要になるなど、書類作成のコストもかかります。借入れも、利息がかかります。いずれにせよ、コストが発生しますので、あとから考えてみると得したのかよくわからない、ということになりかねません。
「この補助金や助成金がもらえるからやる」のではなく、事業を行う上で必要不可欠である場合や、うまくマッチした場合に利用する、というスタンスでいるべきであり、そのような状況であれば積極的に活用すべきと思います。
AI・深層学習の活用による業務の効率化
生成AIについてのニュースを聞かない日がありません。すでに、業務に深く浸透して、手放せないものとなっています。
わたしも、プログラマとしてPythonを使って実際に開発し、実際に業務でも大いに活用しています。データ分析でも大きな武器になっています。
アドバイザリー、コンサルティング業務は、医者と同じで、まず診断・分析した上で、治療・実行をします。その診断・分析が間違っていた場合、治療方法も的外れになってしまいます。
業務の成功は、診断・分析をどれだけ的確かつ正確にできるかにかかっています。
もちろん、AIや機械学習を使わなくとも旧来の分析手法や長年の経験から結果を導くことができることも多いです。しかし、さらに説得力を補強するためのデータ的な裏付けが得られたり、データ分析によって新しい視点が得られたりと、AI・深層学習という武器が業務の質を高める一助になっています。
豊原 裕介 Yusuke Toyohara
資格:公認会計士
その他の資格:宅地建物取引士、第一級陸上特殊無線技士、第一級アマチュア無線技士、危険物取扱主任者(乙4)、二級ボイラー技士など
拠点:大阪府堺市(最近はメールやビデオ会議などのオンラインで済むことが多いです。)

略歴
東京大学工学部機械工学科卒(専攻:流体工学 松本研)
東京大学大学院工学系研究科機械工学専攻修士課程終了(専攻:熱工学 庄司・丸山研)
(株)ブリヂストンにて新商品開発に従事。
三優監査法人にて会計監査(金商法、会社法)、コンサルティング、IPO業務などに従事したのち、2011年に独立。
【メールアドレス】
office「アットマーク」cpa-toyohara.com
(「アットマーク」を@に修正いただきますよう、よろしくお願いいたします。本記載は、いたずら防止のため。)
なお、お問い合わせフォームに不具合がある場合には、お手数をおかけしますが、メールにてご連絡ください。